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7. 本だな

7.2 本だな バックナンバー

♪は対象年齢を表しています。
♪(小学校低学年)〜♪♪♪(中学生)〜♪♪♪♪♪(大人)くらいです。
本を読むときの参考にしてください。

錬金術の世界

 錬金術とは、ほとんど人類の歴史の始まりから人類と共にあり、中世まで栄えた原始的科学である。錬金術ではあらゆる物質は4つの元素(土・水・空気・火、「三元素説」「五元素説」もある)から成り立ち、それらの元素の割合によって、どんな物質でも作ることができると信じられていた。そして、その物質の合成の果てなき実験の繰り返しは、現代につながる化学の基礎となった。
 しかし、その一方で、錬金術はオカルト的で、うさんくさいものだと見られていることも確かである。近代科学が発展するにつけ、錬金術はどうしようもなく時代遅れで、合理的でない考え方だとして、低く見られるようになったのである。

1.錬金術の本質

錬金術 / セルジュ・ユタン 作 ♪♪♪♪
 錬金術の歴史から、思想、代表的人物とその理論まで、錬金術の全体像を分かりやすく解説。入門書としておすすめ。錬金術の概要が知りたい場合にはこれ1冊で十分。これを読んでもっと錬金術について知りたくなったら、これを足がかりとして、他の本を読んでみることをおすすめする。そういう意味で、この本はよい入門書である。

書名:錬金術
作者:セルジュ・ユタン 訳者:有田忠郎
出版者:白水社 出版年:1972 ページ数:163ページ
(2003.11.18)
錬金術の復活 / 曽根興三 作 ♪♪♪
 錬金術の大まかなところをざっと知るにはこの本がおすすめ。古代中国から現代の化学者まで、錬金術の歴史の流れと、現代の科学との関わりが分かりやすく書かれている。しかも、錬金術に関係のある文学も面白い。ただし、その文学紹介を読んでいると、文学上のキャラクターなのか、歴史上の人物なのか、区別がつかなくなる時があるので要注意。

書名:錬金術の復活
作者:曽根興三
出版者:裳華房 出版年:1992 ページ数:236ページ
(2003.10.30)
錬金術 / スタニスラス・クロソウスキー・デ・ロラ 作 ♪♪♪♪♪
 本当の錬金術とはどんなものであるかということを、明らかにしようというのが、この本の目的らしいけど、その割には、分かりづらいのは、錬金術自体が非常に難しい分野なのだからだろう。
 一般に錬金術とは、卑金属(鉛など)を黄金に変えることが目的の原始的化学だと思われているが、そうではない。黄金など目的達成の途中でできた副生成物でしかない。混沌とした存在を統合し、完全な存在(賢者の石)を目指すのが錬金術である。その意味で、金属としての完全性を表す「金」は、錬金術師の目指す完全性の類似物となっているのである。
 この本でおすすめなのは、豊富な絵。これらは錬金術師たちによって描かれ、錬金術書よりも、錬金術の本質を表しているという。これらの絵とその解説が、難解な錬金術の世界を理解する助けになることは間違いない。

書名:錬金術 精神変容の秘術 イメージの博物誌6
作者:スタニスラス・クロソウスキー・デ・ロラ 訳者:種村季弘
出版者:平凡社 出版年:1978 ページ数:127ページ
(2003.10.25)
錬金術師ニュートン / B.J.T.ドッブズ 作 ♪♪♪♪♪
 タイトルにある「ヤヌス」とはローマ神話に出てくる神で、前後を見る2つの顔を持っている。つまり、ニュートンは、錬金術と近代科学という、科学の過去と未来の両方を見つめていたというのが、この本の言いたいことである。
 アイザック・ニュートンは万有引力の法則の発見など、近代科学の基礎を築いた人。しかし、それだけではなく、神学や錬金術の研究にもかなりの労力を割いている。というよりもむしろ、ニュートンにとって、科学も神学も錬金術も、真理を求めるために必要なものであったのだ。この本の作者は、ニュートンの残した錬金術文書をもとに、過去と未来を見つめるニュートンの一面を提示している。

書名:錬金術師ニュートン ヤヌス的天才の肖像
作者:B.J.T.ドッブズ 訳者:大谷隆昶
出版者:みすず書房 出版年:2000 ページ数:本文330ページ、索引・付録・引用文献118ページ(計448ページ)
(2003.10.27)
超図説 目からウロコのユング心理学入門 / マギー・ハイド 作 ♪♪♪♪
 ユング心理学をイラストをマンガのように使ってわかりやすく(?)解説。ユングは晩年、自分の心理学と錬金術の類似性に気づいて、錬金術の研究にのめり込んだため、錬金術の説明もあり。
 この本の場合、錬金術の各概念と対応する心理学上の状態を説明。これを読んでいると、錬金術とは、錬金術師の心の中だけで起こっているものだという論調なのは気のせいか?

書名:超図説 目からウロコのユング心理学入門 心のタイプ論、夢分析から宗教、錬金術まで
作者:マギー・ハイド 訳者:小林司
出版者:講談社 出版年:2003 ページ数:190ページ
(2003.10.25)
錬金術の世界 / ヨハンネス・ファブリキウス 作 ♪♪♪♪♪
 錬金術を伝える文章は、たとえ話という暗号に満ちている。それと、錬金術の真実を伝える、象徴的なイメージの絵の数々。それらを解読して、はじめて錬金術の真実が得られる
 この本では、その暗号を深層心理学を使って解読する。錬金術のさまざまなイメージは人間の無意識の世界に由来するという。そのため、錬金術の暗号は、深層心理学で解釈することができるという。ユングから始まった「錬金術と心理学」という研究をふまえてさらに先へ行くのが本書。錬金術の各過程は、人間の誕生から死までの歩みに一致するという(順番は違うが)。特に、卵子と精子の出会いから出産までの、胎児の時期と大きく関わるため、錬金文書と絵には性的なイメージがたくさん存在する。
 この本は、錬金術を深層心理学という1側面から解釈しようとしているため、錬金術の入門編としてはおすすめできない。また、性的なイメージが全面に出ているので、そういうのが苦手な人にもおすすめできない。錬金術の概要をある程度知った上で、さらに錬金術の広さと深さを知りたい人におすすめ。

書名:錬金術の世界
作者:ヨハンネス・ファブリキウス 訳者:大瀧啓裕
出版者:青土社 出版年:1995 ページ数:702ページ
(2003.11.9)
大聖堂の秘密 / フルカネリ 作 ♪♪♪♪♪
 ゴシック建築の大聖堂に隠された錬金術の秘密を解き明かす。一般人が読めば、この本はこんな感じの本だ。しかし、ヘルメス学に通じる、つまり、錬金術師が読むとそうではないらしい。解き明かすどころか、錬金術の奥義を解き明かす鍵が、この本には書かれているらしい。つまり、建築物の解読という暗号で書かれた、錬金術書というわけだ。
 著者のフルカネリからして、すごい。過去の錬金術を調べる研究者ではない。錬金術本人だ。錬金術師が書く、錬金術書がこの本。決して分かりやすいというわけではないが、ヘンに難解というわけでもない。豊富な写真が理解を助けてくれるし。しかし、「これ以上書くと・・・」的な記述が時たま見られるあたり、研究と実験という真実への探求という努力なしに、安易に真実を知ろうとするものをいさめているような気配がひしひしと伝わってくるような気がする。。

書名:大聖堂の秘密
作者:フルカネリ 訳者:平岡忠
出版者:国書刊行会 出版年:2002 ページ数:345ページ
(2003.11.13)

2.原始的科学から近代科学へ

元素の発明発見物語 / 板倉聖宣 編 ♪♪♪
 科学の進歩はものすごく地道な実験・観察・考察の繰り返しである。その歴史を分かりやすくまとめたものがこの本。物質から物質を構成する元素という発想の転換から始まる化学の歴史は、錬金術から化学という学問への転換でもあった。
 この本の中で、錬金術は「安い金属から金をつくりだす」という金儲けのための努力だという。そのためには、さまざまな科学的実験が行われた。しかし、それらは秘密裏に行われたため、科学の進歩には貢献しなかった。すなわち、錬金術は化学の生みの親ではなかったという。錬金術師たちが金を生み出すために不毛な努力を続けている間に、鉱山の製錬技術者や薬剤師たちの地道な化学的実験によって、今日の化学は発展してきたという。

書名:元素の発明発見物語 錬金術師の物語から超ウラン元素の発見まで 発明発見物語全集17
編者:板倉聖宣
出版者:国土社 出版年:1985 ページ数:250ページ
(2003.10.26)
百万人の化学史 / 筏英之 作 ♪♪♪♪
 古代から現代まで続く化学の歴史を解説した本。どちらかというと、科学の進歩に貢献した人たちの列伝のような体裁。歴史上現れてきたさまざまな化学的考え方の1つとして錬金術も取り上げられている。しかし、その扱いは、化学の発展に貢献したと言うよりは、1つの傍系、いちおう重要な発見もあったけど、役に立たない不毛な努力を続けてきた人々というようなものである。
 この本自体も、日本語の使い方が下手なのと、話が前後しがちなので、ちょっと読みづらい。

書名:百万人の化学史 「原子」神話から実体へ
作者:筏英之
出版者:アグネ承風社 出版年:1989 ページ数:250ページ
(2003.11.5)

3.物語の中の錬金術

鋼の錬金術師 / 荒川弘 作 ♪♪♪
 兄エドワードと弟アルフォンスは死んだ母親の笑顔をもう一度見たいがために、錬金術師の間で禁忌とされている人体錬成に挑んだ。しかし、それは失敗、兄弟が払った代償も大きなものだった。自分たちの身体を元に戻すため、賢者の石を求めて旅をする。しかし、そこには賢者の石を巡る不気味な組織の影が・・・。
 みどころは、エドワードのハデな錬金術バトル。錬金術というのは本来、研究室で根気よく実験を繰り返すものだけど、このシリーズでは、あっというま。アルフォンスは、それでも魔法陣のような錬成陣を書かないと錬金術は使えないけど、エドワードの場合、両手を打ち合わせるだけで術が発動する。ありえません。
 ちなみに、このシリーズはマンガ。でも、なめてかかっちゃいけない。見た目はハデだけど、ストーリーはかなり重い。兄弟愛、人間の生き方、人間の心にある暗い部分なんかが、ずっしりと心に響く。

作者:荒川弘 出版者:スクウェア・エニックス
書名:鋼の錬金術師1 ページ数:186ページ 出版年:2002
書名:鋼の錬金術師2 ページ数:186ページ 出版年:2002
書名:鋼の錬金術師3 ページ数:186ページ 出版年:2002
書名:鋼の錬金術師4 ページ数:191ページ 出版年:2003
書名:鋼の錬金術師5 ページ数:191ページ 出版年:2003
書名:鋼の錬金術師6 ページ数:191ページ 出版年:2003
おまけページ
(2003.10.31)
錬金術師の館 / イルメリン・サンドマン・リリウス 作 ♪♪
 グリーパンデル館に住んでいるツリアムは魔術師だという噂だ。実際は魔術師であり錬金術師でもあるという。ツリアムの下で錬金術の手伝いをすることになったボナデアは、実験中にさまざまな不思議な出来事を体験する。
 魔術と錬金術がごっちゃになってます。まぁ、そんなもんですけど。ツリアムを援助する人は錬金術で黄金が生み出されると期待しているけど、ツリアムはそんな死んだ金に用はない。ツリアムが作りたかったのは生きている金。不死の薬にもなるということで、たぶん、エリクシルのことでないかと。夢に生きる人間と欲望に生きる人間に挟まれて、その中でも自分を見失うことのないボナデアとボナデアの恋人(?)の生き方がとてもいい。

書名:錬金術師の館 太陽の夫人Vol.2
作者:イルメリン・サンドマン・リリウス 訳者:山口卓文
出版者:福武書店 出版年:1990 ページ数:207ページ
(2003.10.31)
メルセネの錬金術師 / デイヴィッド・エディングス 作 ♪♪♪
 全部で10冊ある「マロリオン物語」の7冊目。さらに、前シリーズとして「ペルガリアード物語」が5冊ある。で、物語としては終盤にさしかかっているこの本では、<闇の子>ザンドラマスを追いかけるガリオン一行に道を示す役として錬金術師センジが登場。この世界では、錬金術と魔術が両方存在するけど、理論としてはきっちり分かれている。ただし、センジは魔術師でもあるけど。どちらかというと、魔術が主体であり、錬金術は得体が知れなくてうさんくさがられている。そりゃそうだ、何でもありな魔術が使えるんだもん。いろいろと制約のある錬金術の立場はかなり厳しい。金をつくることも、成功したという噂はあるが実際には成功していないらしい。

書名:メルセネの錬金術師 マロリオン物語7
作者:デイヴィッド・エディングス 訳者:宇佐川晶子
出版者:早川書房 出版年:1991 ページ数:249ページ
(2003.11.18)
ハリー・ポッターと賢者の石 / J.K.ローリング 作 ♪♪♪
 まさか、この本をこんな形で紹介することになるとは思わなかった。内容はもはや説明する必要もないくらい、有名なファンタジー。だから、内容は紹介しないけど。ファンタジーものでは、錬金術と魔法を混同する場合が多く、ハリポタもその部類だと思っていたのだけど、きっちり分かれてました。
 タイトルからして「賢者の石」です。さらに、ダンブルドアの古い友人で賢者の石の元々の持ち主が錬金術師ニコラス・フラメルです。この人のどこが錬金術と関係があるのかというと、実在の錬金術師なんです(日本ではフランス語読みのニコラ・フラメルで通っているけど)。しかも、賢者の石の扱いも、錬金術をきちんとふまえているし。もっとも、この本での賢者の石は、どちらかといえば、賢者の石の一歩手前の錬金薬に近いものがあるけど。どう違うかというと、簡単に言えば、液体である錬金薬を、完全に精製して固体にしたものが賢者の石。これ以上、錬金薬と賢者の石についていうとネタバレになりそうな気がするから、この話はおしまい。
 こうやって読むと、ハリポタの1巻はかなり錬金術と関係があることがよくわかる。

書名:ハリー・ポッターと賢者の石
作者:J.K.ローリング 訳者:松岡佑子
出版者:静山社 出版年:1999 ページ数:462ページ
(2003.11.28)
錬金術師の魔砲 / J.グレゴリイ・キイズ 作 ♪♪♪♪
 時は18世紀初頭。錬金術が科学技術の主役な世界。イギリスとフランスの間では絶え間ない戦争が起こり、アメリカはまだイギリスの植民地だった。
 そんな世界を生きる、ニュートンやベンジャミン・フランクリンやルイ14世といった、どこかで聞いたことがあるような人々。でも、現実との違いは、彼らが錬金術と関わっているということだ。
 この物語では、賢者の石は出てこない。代わりに出てくるのがエーテルと生命の秘薬。それらが大きく関わっている、イギリスとフランスとの間で起きている戦争。フランスは、戦争を有利に終わらせるため、とんでもない兵器を開発した!
 錬金術が科学の基本技術(蒸気機関の火力が錬金術など)な世界観や、大カタストロフィーで終わる結末など、続きが気になる終わり方をしている。それは、どうやら、この話が、4部作の第1部でしかないためであるらしい。でも、次作以降の出版は未定。この2冊、単独でも楽しめるけど、続きが気になって、眠れなくなるかもね。

作者:J.グレゴリイ.キイズ 訳者:金子司 出版者:早川書房 出版年:2002
書名:錬金術師の魔砲 上 ページ数:351ページ
書名:錬金術師の魔砲 下 ページ数:367ページ
(2003.12.12)
アルケミスト / パウロ・コエーリョ 作 ♪♪♪
 羊飼いの少年はエジプトのピラミッドに宝物が隠されているという夢を見た。最初は信じなかったけど、さまざまな導きのもと、宝物を探す旅に出る。しかし、それは平坦な道のりではなかった。
 最初は宝物を探していたはずなのに、錬金術師を探すイギリス人に会ったあたりから、話はなぜか錬金術へ。いや、最初から、そういう気配はあったけど。心の声に耳をすまし、それに従うこと。それは、大いなる作業に繋がり、大いなる魂へと辿り着くものだから。
 この物語の根底にあるのは、信仰だろう。特にどの神とは言及はないが(1箇所だけキリストに祈るシーンはあるが)、結局、「全は一」ということで、どの神を信仰していても、それは全て一つの集約されるものなのだろう。それはともかく、人生の知恵を、世界の構造の一端を理解できる本ではある。

書名:アルケミスト 夢を旅した少年
作者:パウロ・コエーリョ 訳者:山川紘矢、山川亜希子
出版者:角川書店 出版年:1997 ページ数:199ページ
(2003.12.12)
地下室からのふしぎな旅 / 柏葉幸子 作 ♪♪♪
 アカネとチィおばさんは、地下室にあらわれた錬金術師ヒポクラテスと小人のピポにつれられてとなりの世界へ。しかし、間違って違う国に出てしまうわ、ヒポクラテスとピポはさらわれてしまうわで、なかなか目的地にたどり着くことができない。
 この本での錬金術師は、薬草やそのほかのたくさんの知識を持っている人。魔法使いは別に存在する。どちらかといえば、薬剤師に近い存在。話の流れのせいか、金属変成の話は一切出てきていない。

書名:地下室からのふしぎな旅
作者:柏葉幸子
出版者:講談社 出版年:1988 ページ数:249ページ
(2003.12.16)

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